仙台市の中心を南北に貫くアーケード商店街。その南端にある「サンモール一番町」の出口から歩いて2分ほどの所にある『MUKU』の店先には、わんこ用の飲み水が置いてあった。そしてガラス窓には“DOG FRIENDRY! ”の文字。
こちらは1階と2階に客席を持つカフェレストランで、1階席はわんこと一緒に過ごすことができるお店だ。





早速店内に入り通された席に着く。大型犬もOKという店内ではわんこはテーブルの下にいてもらうのが基本だが、小型犬であればバギーもOK。抱っこやカフェマットなどを敷いて直接ファブリックに触れなければ椅子に座らせても良いそうだ。
先に伝えておくが、こちらのお店ではモバイル注文となっており、お会計はキャッシュレス。クレジットカードもしくは電子マネーやQRコード決済などで行うので特にわんこを連れている時はスムーズにできてありがたい。

モデル犬と訪れたこの日はオーナーのMIKAさんがおすすめする料理を用意してもらった。出来上がるのを待っている間、愛知県のヤギ農場から仕入れている新鮮で栄養豊富なヤギミルクがあるというので、それをわんこたち用にいただいた。残念ながら現在わんこのご飯はないのだが、年内にはパティシエが作るわんこ用ケーキを提供できるようにするそうだ。どんなケーキになるのだろうかと楽しみに思いながら2頭が仲良くヤギミルクを飲んだのを見届けた頃、料理が運ばれてきた。


目の前に置かれたのは色鮮やかで種類豊富な野菜の上に肉厚なサーモンが乗った「サーモンのMUKUサラダボール」だ。見た目の美しさに感動しているとその器の中にぎっしりと入っているものひとつひとつをMIKAさんは丁寧に説明してくれた。環境に配慮して女川で養殖された臭みの少ないサーモンと、地球の事を考えながら農業に取り組んでいる生産者が分かる野菜たちのこと。そして出された時に最初に目についた、黄身の色が薄い卵は石巻で平飼い養鶏をしている「つるじい」の卵だと教えてくれた。「つるじい」は自然農法による野菜の生産もおこなっており、そこで出た野菜くずや米ぬかに、魚のあらなどを混ぜた飼料を与え、鶏が自由に動ける状態で育てている。黄身の色がレモンイエローなのはナチュラルな物を食べているからでこれが本来の卵の色なのだそうだ。環境も良くストレスのない健康的な鶏から生まれた卵の黄身は薄い色合いなのに、味は濃厚。「つるじい」の生卵は『MUKU』店頭でも販売されているので、卵の味の違いが分かりやすい卵かけご飯でぜひ食べてみてほしいとのことだった。





見た目も美しく、食べたらおいしい。そして栄養価も高く健康に配慮されたありがたい食事。そんな料理を提供してくれる『MUKU』はMIKAさんの思いを発信する役目も担っている。
もともと動物が大好きだというMIKAさん。高校生の次男から教えられた2010年のゲイリー・ヨーロフスキー氏の「世界で一番重要なスピーチ」を知ったのがきっかけとなり「ヴィーガン」(※1)や「アニマルウェルフェア」(※2)について、様々な勉強をするようになる。そして世界の中で日本がどれだけ遅れているか、どれだけ残酷な事をしているか、という現状を目の当たりにし、この状況を変えていかなければならないという思いが強くなっていった。
—————————————————————————————————————————(※1)可能な限り食べ物・衣服・その他の目的のために動物の搾取を取り入れないようにする生き方。肉や魚のみならず、乳製品やはちみつなども食さない。(※2)動物福祉。人間の保護・管理下にある動物に対して本来の習性に合った生活環境を与え、健康で心身に苦痛のないように飼育すること。ペットだけではなく畜産動物など野生動物以外の全てにあてはまる。
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MIKAさんはそのことについて、多くの人に知ってもらいたいと考えたのが、言葉で伝えた所でその話題は一過性に終わってしまう。それなら食に関することは食事をする場所でじんわりと浸透させていけるのではないかと考え、この『MUKU』をオープンさせたのだそうだ

テーブルにはメニューの他に、MIKAさんが店をオープンさせる前に全国に足を運び自ら生産者に話を聞いて綴られたレポートが置いてある。アニマルウェルフェアを実践している畜産農家や循環型農業(※3)を取り入れている農家など『MUKU』が仕入れている現場の様子が分かる25のレポートだ。手間暇かけて育てている生産者の思いを少しでも多くの人に知ってもらいたい。そんな思いで行動しているMIKAさんは自分を広報係なのだと言っていた。
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(※3)化学肥料や農薬の使用を抑えつつ、使用する資源を循環させて自然環境への負荷を軽減し、土壌や水、そして生態系を大切にしながら、持続可能な形で農業を営むこと
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わんこと行けるお店を紹介しようと思ったら、『MUKU』が持つ深い意味まで伝えずにはいられなくなってしまった。ちょっと脱線した話になってしまったかもしれないが、興味を持ってもらえただろうか。
ここではモーニングや10時半から16時までお食事タイムが設けられている。その他ヴィーガンスイーツやドリンク、アルコールも種類豊富なのでぜひ愛犬と一緒に気軽に行ってみてほしい。そして愛犬との楽しいひとときを過ごしながら、子どもたちの未来のためにもテーブルにあるレポートをちょっと覗いてみてほしい。
(取材:NAOKO)

料理研究家のKyokoさんをはじめパティシエやバリスタと共に、生産者の思いを乗せた美味しいお料理やスイーツをご用意してお待ちしております。まだまだ犬連れで行けるお店は少ないですが、需要があることを周知してもらうためにも、ぜひわんちゃんとご来店ください。
MUKU
【住所】仙台市青葉区一番町1丁目11-19
【営業時間】8:00~17:00
【定休日】不定休
【駐車場】近くに有料駐車場あり
【Instagram】https://www.instagram.com/muku_sendai/
【ペット】店内OK・大型犬 OK・ペット用食事なし・マーキングする犬はマナーウエア着用・カフェマット持参・予約不可
~他のお客様の迷惑にならないようにマナーを守って利用しましょう♪~
★ARCHE! MODEL うゆ&みるく
















