今回発刊されたARCHE! N°12の取材で訪れた「またたび堂」。全国の猫作家さんの作品がずらりと並び時間を忘れて見入ってしまう作品ばかりだった。一通り見せてもらった後、色々な作品の説明をしてくれた女性に「ところで宮城県の作家さんの作品はありますか?」と聞くとちょっと照れくさそうに「これが…実は私の作品で…」と控えめに指さした絵は私がたくさんの作品の中でも特に気になった作品だった。
数々の作品を丁寧に紹介してくれた女性。それが布絵作家のしょうじこずえさんだった。
「布絵」とは布の端切れを貼り合わせそこに刺繍を施すという彼女独自の表現方法で作る絵のことだ。
宮城県山元町出身。 2011年東北生活文化大学 生活美術学科卒業。子供のころからちぎり絵や造形教室で学んだ自由な表現に魅了され更に深めるために大学では生活美術学科に進学。しかしこずえさんは大学に進学させてもらい好きな分野を学ばせてもらった分、卒業後は両親に親孝行できるような就職先へ就くことが正しい道だと考えていたそうだ。
大学卒業の年、東日本大震災が起こる。その時彼女は大学にいたのだが数日後やっと帰れた地元山元町は甚大な被害を受け身近な人たちがたくさん亡くなっていたそうだ。そんな状況を目の当たりにした彼女に、「自分は生かされた。」「この命は自分一人だけのものではない。」という思いが沸き起こった。そして1回しかない人生をちゃんと正直に生きたいと考えるようになる。
布絵作家 しょうじこずえさん
ついネガティブに物を考える癖があった彼女だがやりたいことを見つけた時それを支えてくれる人がたくさん現れた。その時の思い、感謝、覚悟が人生の柱となり2016年、本格的に作家活動をスタートさせる。
その年「見参ーKENZANー2016」オーディエンス新人賞を受賞。自分の気持ちに嘘をつかず心の声を聞いて行動できた彼女の作品には内に秘めた自信が現れている。その後も個展や国内外のアートフェアなどに参加し意欲的に作品を作り続けている。
彼女の作る猫をモチーフにした1点物の布絵は布の持つぬくもりや体温のような温かさを見る人にやわらかく感じさせてくれている。
(取材:NAOKO)
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