Take it easy.
真剣に取り組むが深刻にはなり過ぎない
そのバランス感覚を大切にしています
長野県長野市の国道18号沿いに突如現れるガラス張りのピルと洋館風の白い建造物。この敷地内全ての建物が株式会社クリエイティブヨーコ本社だと言う。想像するオフィスビルとは違う、洗練された印象の外観に圧倒された。エントランスに入ると見上げるほどの天井の高さと吹き抜けがあり、筆者の身長を優に越す植物が生い茂る様子はなんだか植物園のようで、国内外80店舗を運営する大手企業の取材だという事を一瞬忘れてしまう。
今年で創業43年を迎えるクリエイティブヨーコ。この3月にペット用品専門店「ペットパラダイス」の東北における旗艦店として、「ペットパラダイス仙台中央通り店」をオープンした。犬用ペット衣類、キャリーパッグ、カート、ペット用おもちゃほか、数多くの魅力的な商品の企画から製造、販売までを一貫して自社で行っている。
仙台中央通り店オープンと時を同じく、今年3月、代表取締役社長に就任した北原武幸さんにお話を伺った。爽やかな笑顔と柔らかな声色の中にエネルギッシュさが滲み出る風貌。取材が始まってすぐに「社長の日課や習慣は何かございますか?」と思わず質問してしまった。すると「フルマラソンですねー」とお返事が。自社製品を多く開発する企業の代表という肩書きをそのまま体現しているような、健康的でクリエイティブな雰囲気の方だ。
北原武幸さん。1974年生まれ。新卒で株式会社クリエイティブヨーコに入社し、商品企画、店舗管理、運営他さまざまな業務に携わる。今年3月、同社の代表取締役に就任。
さて取材にあたり事前に資料を集め始めてすぐに気付いた。「しろたんの会社だ!」。小学生の頃、最寄りのショッピングモールにマザーグースの森という雑貨屋さんがあり、そこは見つけた瞬間抱きつきたくなるような可愛らしいキャラクターグッズが溢れている夢のような場所だった。触り心地はふわふわもちもち、真っ白なボディになんとも言えない愛くるしい表情をしたアザラシのキャラクター「しろたん」。その他にも、目と目がずいぶん離れた、これまたなんとも言えない表情に夢中になり当時母におねだりをしてグッズ集めをしていた「ぴよちゃん」。
名前を口にするだけで子供時代の懐かしい感情や思い出が溢れ、すっかり興奮しながらお話していると社員の方が、「ちょうどしろたんの話題が聞こえましたので」と、しろたんのグラスで冷えた緑茶を出してくださった。あの頃通い詰めたあのお店は、当時、新卒入社後に店舗企画業務に就いた北原さんが立ち上げから携わっていた店舗だった。
子供の頃にしろたんやぴよちゃんが大好きだったという声は就活生や新入社員からも多く聞くそう。「自分の働いてきた会社の事をそのように言ってもらえる瞬間はとても嬉しいです」と北原さん。
魅力的なキャラクター達が抜群の認知度を誇る同社だが、2001年よりペットファッション、ペット用品業界に進出した。商品企画から生産販売までを一貫して行う業態「ペットバラダイス」を確立させ、現在は全国に直営店74店舗、オンラインショップ7店舗を展開している。キャラクターグッズ販売から、どのような経緯でペット用品販売にも至ったのだろう。そのきっかけは意外な瞬間からだった。
「当社に『レトリバー』という大型犬の抱きぐるみのキャラクターがいまして、普段は洋服などは着ていないのですが、たまに限定版などで衣装を着て販売したものがありました。それを脱がせて愛犬に着せているお客様がいるそうだと噂に聞き、すぐに犬用グッズ企画が立ち上がりました」
一つのきっかけからすぐにプロジェクトをスタートする初動の早さは入社当初から変わっていないそう。「若手やベテラン、肩書きなどに関係なくアイデアを出す事ができ、チャレンジする事ができましたね。部署の垣根もそこまで無いように思います。ほら、ここも(本社ビル)吹き抜けで会話も筒抜けですから、みんなに全部聞こえちゃいますよー」と微笑んだ。
キャリア初期において印象に残ったプロジェクトは犬用衣服「なりきりコスチューム」シリーズ。まるでハロウィンの仮装にように、さまざまなキャラクターや動物になりきる事ができる、着ぐるみのような愛犬用グッズである。企画過程でどのような事にこだわったのだろうか。
「当社の企業理念が『人々になごみを与をる』という事なんです。ですので、この衣装をきたワンちゃんが街をお散歩していたら、飼い主だけでなく通りすがりで目にした人の心もほっこりするような、そんなところを大事に企画しました」
ミニオンやトイストーリーといった有名キャラクターから蜂や恐竜など多様なラインナップ。特に恐竜のなりきりコスチュームは、背中から頭にかけてのギザギザがとても可愛らしく、これを着てお散歩しているワンちゃんをもし街で見かけたら、日頃の小さな悩み事くらいなら吹き飛んでしまうのではないかと思う。
オフの時間について伺った。フルマラソンのほかに料理、長野のサッカーチーム「パルセイロ」のサポーターなど、充実した時間をすごしている。特にサッカーチームのサポーター歴は長いようで、観戦の際は観客席で大きな旗を振る”大旗振り”を担う熱心ぶりだ。パルセイロのアウェイ観戦がてら小旅行にもよく行くそうである。オフの時間を生み出すからこそアウトプットとインプットの循環が生まれ、肩肘はらず自然体でいられるのではないだろうか。
夏に向けて販売する新商品を見せていただく。大人気のペットカート「smooca mini」(スムーカミニ)はデザイン性に優れながら機能性も抜群。軽量化に力を入れ持ち運びの負担を軽減し、ワンちゃんが入る部分をそのまま取り外してキャリーやドライブボックスとしても使用できる3WAY仕様となっている。
そしてペットカートと合わせての使用に最適な「ペットカート用クーラー」。モバイルバッテリー電源で作動するファンが空気を循環させ、本格的な夏の到来に向け愛犬とのお出かけを快適にしてくれる製品だ。
新製品を紹介する北原社長、社員さんの表情はとても輝いていて、製作過程にたくさんの心が、熱い思いが込められていることを実感した。
今後の展望について伺う。現在、海外への本格進出を視野に入れており、2030年にはさまざまな国にペットパラダイスを展開していたいとのことである。パンデミックも治まり、ペットパラダイス原宿竹下通り店などでインバウンド需要が戻ってきた事もきっかけだそうだ。
宮城県のアルシュ読者に向けてメッセージをお願いします。
「この度仙台のメインストリートに出店させて頂きました。より多くの方に商品をお手に取って頂けると婚しいです。可愛い商品がたくさんありますので、ぜひ店舗に遊びにきてくださいね」心が和み日常の癒しを生み出すクリエイティブヨーコ。ぜひペットパラダイスヘ足を運んでみてください。
(取材 渡梓・撮影 百瀬恵子)
株式会社クリエイティブヨーコ 代表取締役社長 北原武幸
1974年生まれ。長野県飯田市出身。株式会社クリエイティブヨーコ代表取締役社長。1996年に入社し、ショソプ運営部、ショップスーパーバイザーを経て2002年に本社企画部へ。2012年よりペット企画課の係長に昇進し数々の企画開発に携わる。2024年、同社代表就任。趣味はマラソン、料理、サッカー観戦。地元のサッカーチーム「長野パルセイロ」のサポーター。