「当日は50匹のわんちゃんたちがお祝いに来てくれる予定です」
そう教えてくれたのは仙台市一番町にある『アーカンジェル迎賓館 仙台』のスタッフの今井さんだ。今回取材させていただく結婚式の担当者だ。
『アーカンジェル迎賓館 仙台』は2003年にオープンした全館貸切りのゲストハウス。1日に午前と午後の各1組ずつのみが利用できるようになっていて、イベントやパーティーなどでも使われているようだがやはり主な使われ方は結婚式のようだ。キリスト教のチャペルや披露宴ができるバンケットルームがあり、外ではガーデンパーティもできる庭がある。
ここでは用意されたいくつかの結婚式プランを選ぶのではなく、主役の2人の思い描く結婚式を挙げるための場所の提供と、そのお手伝いをしてくれるそうだ。完全貸切りとなるためどのような使い方もでき、二人で作り上げた特別なオリジナルプランの結婚式が可能だ。
最近ではペットも家族の一員として一緒にお祝いに参加させたいとの声があるそうで、多い時で月の1/3程度はペットを連れた結婚式がおこなわれているとのことだった。過去には愛猫と一緒に式を挙げたカップルや自宅で飼っているトカゲをロビーに展示して式を挙げたカップルなどもいたそうだ。猫やトカゲは少し特殊な例だが、ペット同席の結婚式で一番多いのはやはり犬。新郎や新婦が飼っているわんちゃんたちが出席するというもので、これまではせいぜい3、4頭くらいだったそうだ。だが今回は会場側も初めてとなる50匹ものわんちゃんがお祝いに来てくれることとなっていた。
この日の主人公である新婦のご実家ではトイプードルのプリンスくんとティアラちゃんを飼っている。昨年はARCHE!の読者モデル犬として活躍してくれた2匹だが、このプリンスくんとティアラちゃんを通じてお友達になったワン友の方々を招待しての結婚式を企画したとのことだった。それは大好きなわんちゃんたちに囲まれて祝福されたいという新婦の夢でもあったようだ。前半は日頃お世話になっているワン友への感謝の気持ちを込めたワンちゃんパーティーをおこない、後半はたくさんのわんちゃんたちが見守る中で挙式を行うという2部構成になっていた。
少し早めに会場に着くと、すでにオシャレをしたわんちゃんと飼い主の方を数組、門の外でお見かけした。門番に取材の事を告げ敷地内に入り庭で待っていると続々と招待客である飼い主とおめかしをしてきたわんちゃんたちが集まってきた。
時間になるとロビーでワンちゃんパーティーが始まり、カラードレスに身を包んだ新婦が新郎と共に現れた。そして新婦のお母様が皆さんに感謝の言葉を述べた後、ケーキ入刀。少し時間を共にしてお色直しのために新郎新婦は退席。挙式までの間は愛犬の写真を撮ったりデザートビッフェを楽しんだりしながらそれぞれ過ごしていたようだ。
挙式はチャペルにて行われた。ここへも愛犬と一緒に入れるということで賛美歌の歌声に迎えられながらそれぞれわんちゃんと飼い主が着席していく。神父さんの優しい声にわんちゃんたちも聞き入っているようで、50匹もいるはずなのに不思議と誰一人、いや、誰一匹も吠えて騒ぐ仔はいなかった。
ここでプリンスくんとティアラちゃんはリングドッグという重要な役目を担っていた。首に下げたリングを新郎新婦の元に届けて指輪の交換を成功させるという大役だ。ドアが開き2匹が登場。たくさんの目やスマホのカメラを向けられて一瞬驚いた様子だったがしっかりとその役目を果たすことができ、見ているこちらも安堵した。
挙式の後はガーデンでワンちゃんたちも一緒にフラワーシャワーでお二人を祝福。特別な日を迎えられた新郎新婦はもちろんのこと、招待されたワン友の皆さんも、愛犬と一緒に素敵な体験をすることができとても喜んでいるようだった。
今後はこういったお祝いの席にも、そしてお悔みの席にも家族であるペットも同席することが当たり前の時代になっていくのかもしれない。
(取材:NAOKO)
アーカンジェル迎賓館 仙台
【住所】仙台市青葉区一番町1-6-1
【電話番号】022-713-0421
【定休日】月・火曜日
【駐車場】なし
【HP】https://www.tgn.co.jp/wedding/miyagi/aks/