ペットを自分のこどものように思っている人は少なくないだろう。かく言う私もその一人。人間のこどもであれば少しずつ言葉を覚え言語でのコミュニケーションを取れるようになってくるが動物となるとそうはいかない。だから行動から気持ちを読み取り、時にはその子が話しているかのように自分でアフレコをしてみたりする。だが本心はわからない。じっとこちらを見つめてくるときは何を訴えているのか、その時の状況からヒントを得ようとするがわからない。「おなかが空いたー」なのか、「遊ぼうよー」なのか、「困ったことがあるんですけどー」なのか。なんだろうかと一生懸命考え話しかけてみるが、案外あちらとしては「ただ見ているだけ―」なのかもしれない。
先日、縁あってアニマルコミュニケーターの養成講座をひらいているという方にお会いした。米沢にお住いの岩田 淑(とし)さん。アニマルコミュニケーター歴10年。そして養成講座を開いて3年だそうだ。
もともと岩田さんはスピリチュアルなことは否定的だったそうだ。確かにスピリチュアルといえば神秘的な言葉でもあるがうさん臭くもある。だが何故か岩田さんは周りの人からそういう能力を持っているのに隠している、と思われていたらしい。ある日東京のお友達がふらっと遊びに来たことがあった。近くまで来たついでに寄ったそうで滞在時間はわずかだった。そして帰り際「あんた、そろそろ魔女の蓋あけな!」と捨て台詞を残して帰っていったそうだ。
その言葉に触発されたかのように今まで否定してきたスピリチュアルな世界へと足を踏み入れていった岩田さん。とうとう自分の能力を開花させた。
岩田さんの場合は対象となるペットに対面、もしくは写真をみてその子の言葉を五感と第六感を使って受け取っていく。声のような形でキャッチすることもあれば映像としてキャッチすることもある。時には痛みなどの体感や臭いという形で感じることもある。それら受け取った情報を飼い主などの依頼人に伝えていく。
試しに自分の愛犬の写真をみてもらうと、詳細は割愛するが、最近私が寝不足なのを心配してくれているらしく、「変なところで寝ないでね」と言っている、と笑いながら伝えてくれた。
あらら、岩田さん、よくご存じで。いや、今日初めてあった岩田さんが私の日々を知るはずもなく、やはり愛犬ちゃんが岩田さんに伝えたメッセージなのか。
岩田さんいわく、この能力はそんなに特別なものではないらしい。どの人もキャッチするアンテナは持っているのだが錆びついてしまっているのだそうだ。
いやいや、そうは言ってもやはり動物の言葉が分かるなんていうのは特殊能力。生まれつきそういう能力を授かっているか雷にでも打たれなきゃそんなことはできないだろう。しかもそれを養成講座で養成していくなんて…教えられてできるようになるなんてことがあるのだろうか。素直に信じられなくて思ったことをそのまま聞いてみた。
岩田さんによると虫の知らせとか、あの人どうしてるかなーなんて思っていたらその人から電話が来た、とかそういう誰にでもあるような経験は実はその人が持っているアンテナがキャッチしたためにおきる現象なのだそうだ。また先に書いたように愛犬や愛猫の仕草にアフレコをしている人はそのアフレコはだいたい合っているらしく、これもアンテナが受信できているということらしい。
「ただ違うところがあるとすれば、アニマルコミュニケーターがすることはその一歩先のもう少し深い部分へのアプローチなんです。動物さんたちは人が思う以上に家族を思ってくれています。自分が体調を崩すことで身を挺して家族の絆を取り戻すお手伝いをしてくれたりとか。私たちは動物さんたちの言葉を伝えることで人の意識変革のお手伝いをすることがコミュニケーターとしての役割かな、と思っています」
岩田さんの行っている養成講座では誰もが持つアンテナの錆を落とし磨きをかけるそのやり方を教えているようだ。「大丈夫、信じてない私ができるようになったんだから」と岩田さん。
そしてたくさんのアンテナに磨きをかけ、少しでも多くの「親ばか」を作りたいのだそうだ。自分の愛犬、愛猫を愛して止まない親ばかが増えればこの世に生まれてきた命が「飼育崩壊」や「殺処分」などという恐ろしく悲しい目に合わずに済む。
自分勝手な親ばかではなく愛犬・愛猫の気持ちがわかる親ばかに。信頼される親ばかに。
そんな思いを込めながら岩田さんは動物たちの言葉に耳を傾けている。
(取材:NAOKO)
アニマルコミュニケーター 岩田淑さん
【Instagram】https://www.instagram.com/aurea__pontem.de.corde__/
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