ドッグランを作るなら徹底的に作りたい。ガモウパークはこうして生まれた。
ガモウパーク 海の近くのドッグラン運営
株式会社橋本建機 会長

文／NAOKO　撮影／ARCHE!編集部　ロケ地／ガモウパーク

　最近は四国、九州、静岡など、東北地方だけではなく「ガモウパーク」を訪れるワンちゃんが増えてきました。ARCHE!の撮影会を行っている時も「東京からです。水戸から来ました。素晴らしいドッグランがあると聞いて、静岡から来ました」等々の声を多く聞きました。
　どのような人が、どのような方針で運営されているのか知りたい、という県外からの声が編集部に届くようになってきました。ARCHE!No10で取材させていただいた、ガモウパークの橋本会長の思いを全国の人に知ってもらいということで、ホームページに掲載させていただきました。
　宮城県が誇る「ガモウパーク」にぜひ一度足を運んでいただきたいと思います。雑誌掲載時の様子をご覧になりたい方はこちらのPDFページを。
みなさんのご感想をコメント欄にいただきましたら幸いです。

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東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸地区。家も、人も、町さえものみ込み、海の中へ引きずり込んだ大津波は我々を呆然とさせ思考を停止させるほどのショックを与えた。波が引いたその場所には何も残らなかった。
震災後、仙台市は津波被害のあった沿岸地区の土地を元の持ち主から買い取った。そしてその土地に以前のように、いやそれ以上に賑わいをもたらすことはできないかと動き出した。民間の力を借り、活気のある土地づくりを目指して─。その募集に名乗りを上げたのが名取市にある「株式会社橋本建機」だった。
橋本建機は昭和55年創業の建設機械の修理・販売・リースなどを行っている会社だ。この会社の創業者、橋本裕さん（72歳）は若い頃から建設関係の会社で建機のエンジニアとして働いていた。30歳の時に独立し、自分の会社「橋本建機」を立ち上げた。その後も社長として長年会社を経営していたが、5年ほど前にご子息に社長の座を譲り、ご自身は会長職に就くという形で第一線から退いた。そしてその頃、仙台市が沿岸部の土地の有効活用をしてくれる民間企業を募っていることを知った。
常に意欲的でのんびりとしていられない橋本会長は、仙台市の募集に「何ができるか」を考えた。そしてその土地の広い面積と環境を生かすことのできるドッグランを作ることを思いついた。県内にある大きなドッグランは山間部に多く、冬は雪が降ると利用しづらい。海が近い蒲生地区であれば雪も少なく山よりは暖かい。都市部から近く利用者が来やすい場所であることなど、理想的なドッグランに適していると考えたのだ。

橋本会長は子供のころから動物が大好きだった。実家では犬を飼っており子供の頃から接していた。大人になっても動物好きは変わらず、自分の家を持つと大型犬を飼い始めた。ラブラドール、シェパード、セッターなど今まで犬7頭と猫3匹と暮らしてきた。現在は柴犬2頭がファミリーとなっているが、この2頭以外は育児放棄をされたり捨てられていた犬や猫たちだった。放ってはおけず、そんな子たちを受け入れ育ててきた。

大型犬は特に運動量が必要だ。シニアになるにつれ犬たちは後ろ脚から弱まり、介護が必要となる。その介護をしなければならない日がなるべく遅く来るようにするためには日ごろから十分な運動をさせ、筋肉が劣らないようにする必要がある─。そんな経験から犬種にかかわらず、散歩だけではなく犬たちが思いっきり走り回れるようなドッグランの必要性を肌で感じていた。

ドッグランを作るなら徹底的に作りたい。元来追求型の性格でこれ、と思ったらとことんやってしまう橋本会長は、蒲生地区の広い敷地を生かし、県内にはない全天候型でドッグラン以外にも楽しめる施設を作ろうと計画した。犬も喜び飼い主も喜ぶ楽しい場所だ。

犬のサイズごとに分かれているドッグランエリアのほか、雨や雪の日でも使えるよう、また夏の暑い日差しからも守られるように屋根付きの広いドッグランエリアも作った。犬友のオフ会や他の犬が苦手な犬のために貸し切りで使用できるエリアや、水遊びが好きな犬のために本格的なプールも作った。一日中遊べるように、一緒に来た飼い主さんたちがくつろげるカフェスペースや勉強会などができるようレンタルスペースも作った。犬の毛の付いた物も洗えるコインランドリーやプロ仕様の機材が揃ったセルフトリミングルームも設置した。これほど充実したドッグランを橋本会長は発案からわずか2年でオープンさせた。

東北最大級、8千平方メートルを有するガモウパークのオープンは一昨年、2020年6月。当初4月にオープンする計画だったがコロナの影響でずれ込んだ。その間、プレオープンとしてたくさんの犬とそのご家族に体験してもらった。感触は良かった。
心配していた犬同士のトラブルもなく順調に運営することができている。胸をなでおろすことができた。正式オープンの後もたくさんの利用客が訪れるドッグランとなった。香川から仙台へ旅行にきて、ガモウパークに足を運んでくれた方がいた。静岡からガモウパークだけを目指してきてくれた方もいた。県内外の犬を飼っている方々から喜ばれる宮城のレジャースポットとなってきた。

今後はコロナが落ち着いてきたら、（訓練犬の競技会ではなく）一般のご家庭で飼われている犬たちの運動会や競技会などのイベントを企画し、どんどん盛り上げていきたいと考えているそうだ。
毎日のようにガモウパークへ出勤している橋本会長は、それぞれのドッグランを回りながらアジリティーやその他の設備に不具合がないかなどを見て回っている。遊びに来ているワンちゃんたちがそんな橋本会長のところに走り寄る。挨拶をしながら飼い主さんともコミュニケーションを図る。来場者からすると優しい管理人さん的存在だろうか。

その橋本会長が今やろうとしているのは「冬の青芝」。冬になるとどうしても枯れてしまう芝生だが、それを冬でも青々とさせたいと考え研究しているのだそうだ。一年を通じて芝生のきれいなドッグランにしたいというのが橋本会長の今の夢、課題になっている。
橋本建機では息子さんと、ガモウパークでは娘さんと共に、好きな仕事をしながら毎日を過ごしている橋本会長はきっと幸せだろう。娘さんから見ると少し面倒くさいところもあるそうだが、この年代の方々は多少なりともそういうものなのかもしれない。まだまだやりたいことがいろいろとあるそうなので、それがどんな形で現れるのかとても楽しみである。（NAOKO）

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